あがの姫牛

interview

2016年に誕生し、国産牛の新しい美味しさと楽しみ方を提案する「あがの姫牛」。この牛肉はどのように生まれたのでしょうか。あがの姫牛の流通を担う(株)佐藤食肉の佐藤広国さんと、「阿賀野ジャパニーズダイニング」をテーマとしたお店で料理長を務め、実際にお客様に提供している柄沢利行さんに、あがの姫牛の魅力、そして阿賀野市の食の豊かさについてお話を聞きました。

佐藤食肉
常務取締役 / 佐藤 広国Hirokuni Sato

旧水原町の佐藤精肉店、現・佐藤食肉の長男として生まれる。大学卒業後、群馬県の食肉学校で学び、東京の食肉加工会社で3年間働く。帰郷後は佐藤食肉の常務取締役として、販路拡大、商品企画、マーケティングなどに携わる。阿賀野市の食の匠集団「あがの衆」のメンバーとして地域の活性化に取り組む。

SWANLAKE Pub Edo 修蔵
料理長 / 柄沢 利行Toshiyuki Karasawa

旧水原町出身。和食をはじめ、寿司、洋食などさまざまなジャンルの飲食店を経験。新潟県内の飲食店グループでは店長職を務め、その後縁あって五十嵐亭ガーデンやスワンレイクビールを運営する天朝閣グループに入社。東京店舗の立ち上げなどに携わり、現在は「修蔵」新潟阿賀野店の料理長を務める。

阿賀野のブランド牛「あがの姫牛」はどんなお肉なのでしょうか?

佐藤 : あがの姫牛は2016年に誕生しました。黒毛和牛とホルスタインをかけ合わせた、いわゆる「交雑牛」なんですけど、その中でも肉質が柔らかいメス牛だけを「あがの姫牛」として育てています。村上牛のような黒毛和牛ももちろん美味しいんですけど、肉の美味しさは脂身だけじゃない。あがの姫牛は赤身の美味しさ、肉の旨味を味わえる牛肉です。

柄沢 : さっぱりしているのに旨味があるし、ほどよくサシが入っているので食べやすい。当店でも、たたき、お寿司、陶板焼きなどでご提供していますが、お子様からご高齢の方まで好評ですね。

佐藤 : お客さんからも「うちのおじいちゃんも食べられたわ」「さっぱりして食べやすいね」といった声を聞きますね。シンプルに塩コショウで食べて味わってもらいたいですね。

柄沢 : 阿賀野店は土地柄、年配の方も多くいらっしゃるんですけど、お肉の注文率が高いですね。お年寄りは魚を好むっていうイメージがありますけど、こちらではそうではないです。

「あがの姫牛」はどうやって生まれたのでしょうか?

佐藤 : あがの姫牛は、阿賀野市内の4社のコラボレーションで生まれたものなんです。佐藤食肉でも地元の食材を扱いたい、阿賀野ならではの商品を作りたいと思っていたところに、阿賀野市役所の当時の担当課職員の方から、うすい牧場さんを紹介されました。ちょうどその時、うすい牧場さんも「地元の人に食べてもらえる、阿賀野産と胸を張って言える牛肉を作りたい」と考えていたようで。その職員の方は市内で事業をしている人の声を聞いて回り、いろいろな助言や引き合せをしてくれました。あがの姫牛の誕生は、その方のおかげでもありますね。

柄沢 : そこにスワンレイクビールが入るきっかけはあったんですか。

佐藤 : スワンレイクビールさんも、その市役所の職員の方に紹介してもらいました。僕たちは「新潟・越後の牛」ではなく「阿賀野の牛」にこだわったんですよね。そのためには、大きな特徴を作らなくてはならない。あがの姫牛は、国際的なビアコンテストで、金賞を何度も受賞しているスワンレイクビールのビール粕を食べているんです。

柄沢 : あとはバイオテックジャパンさんの力も大きいですよね。

佐藤 : そうなんです。ビール粕はそのままでは、なかなか食べてくれない。そこで阿賀野市にあるバイオテックジャパンというバイオ企業で、乳酸菌の力で牛が大好きな味に熟成発酵させています。うまみ成分や糖度の高いビール粕を食べることで、おいしくて、ほどよくサシの入ったお肉になるんです。

SWANLAKE Pub Edo 修蔵はどんなお店なのでしょうか?

柄沢 : スワンレイクビール直営のお店は東京と新潟で展開していますが、いずれも阿賀野の豊かな食材を、自慢のクラフトビールとともに楽しんでいただけるお店です。地元の食材とスワンレイクビールを通して、阿賀野を、新潟を盛り上げていきたいという願いも込められています。阿賀野店は「阿賀野ジャパニーズダイニング」というコンセプトで、お子さまからご高齢の方まで、ファミリーで楽しんでいただける雰囲気です。

佐藤 : あがの姫牛を最初に取り扱ってくださったのは、修蔵さんなんですよね。

柄沢 : そうですね。阿賀野産なら何でもいいわけではなくて、本当にいいものでないと使えない。最初に評価してくれたのは前任の料理長で、阿賀野市の名産である安田瓦で焼く「あがの姫牛の瓦陶板焼き」を考案して。これが大好評でした。

佐藤 : 修蔵さんは、わりと早い段階から、阿賀野の地のものにこだわって、地産地消を推進してきたお店ですよね。

柄沢 : お米や野菜のほかには、豆腐は川上とうふさん※のもの、蜂蜜は八米さん※のもの。脇坂園芸さん※のエディブルフラワーはお料理やドリンクにも使っています。お肉はあがの姫牛のほかに、ヤスダヨーグルトと連携してできた純白のビアンカ※も提供しています。

佐藤 : スワンレイクビールの社長さんも阿賀野愛がものすごいですよね。ビールだけじゃなく、地元の食材をどう届けるかっていうのを考えてくれている。こういった情熱ある人たちが出口をしっかり作ってくれているから、僕たちも頑張らないと、って思います。

お二人から見た、阿賀野の食材の素晴らしさを教えてください。

柄沢 : 僕は最近、東京から戻ってきまして、改めて住んでみると、お米も素晴らしいし、食材の種類もたくさんある。東京にいた頃は新潟といえば魚沼産、佐渡産なんかがブランドとして浸透していましたが、阿賀野産も負けてはいない。それ以上のレベルがあると思っています。

佐藤 : 阿賀野は年を取れば取るほどいいところだなと実感しています。生産者同士、ほどよい距離感があって、連携できる。あがの姫牛も、「こういうブランドを作ろう!」と思って作ったのではなくて、お互いの課題を埋めようと探っていたところ、ぴったりはまって偶然できた、という部分が大きい。それは、これまでの積み重ねがあったからこそなんですよね。

柄沢 : 生産者も、意欲的で、頑張っている人が多くて、刺激を受けます。最終的に料理として出す立場として、より良いものにして、お客様に喜んでもらいたいなと思っています。

佐藤 : 僕は昔から阿賀野のことを食の宝庫と言っています。恵まれた自然から受け取った阿賀野の食を、バトンで繋いでいきたい。飲食店さんとも、よりチームとして連携していきたいと思っています。

柄沢 : 最終アンカーですからね。頑張ります(笑)。

※川上とうふ……五頭温泉郷・村杉温泉の一角にある豆腐店。昔ながらの手作りとうふを今も提供している。濃厚で甘みの強い「おぼろとうふ」も好評。
※八米(はちべい)……阿賀野市の里山を拠点に活動する養蜂農家。米農家の傍ら環境型農業に取り組み、減農薬・有機農法の畑から採蜜した国産100%のはちみつを届けている。
※脇坂園芸……野菜と同じように食べられる花「エディブルフラワー」を生産。安心して食べられるよう無農薬で栽培。手摘みした花は一輪一輪検品して出荷される。
※純白のビアンカ……佐藤食肉が販売するブランド豚。ヤスダヨーグルトの製造過程でできるホエイ(乳清)を飼料にし、白く透き通ってさっぱりとした脂身が特徴。

SWANLAKE Pub Edo 修蔵 新潟阿賀野店

〒959-2024 新潟県阿賀野市中島1-25(天朝閣1F)
TEL:0250-62-5355
営業時間:ランチ 11:00~15:00/ディナー 17:00~21:30(金・土・祝前日は~22:30)
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日お休み)

佐藤食肉ミートセンター

〒959-2061 新潟県阿賀野市荒屋88-3
TEL:0250-62-2149
FAX:0250-62-6707
営業時間:9:00~17:30
定休日:年末年始